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2008年03月31日(月)更新

森川嘉一郎先生の直言に震撼@日本発トレンド研究会

昨年、経済産業省産業構造課長の西山圭太さんがご来社されて
楽しく雑談したのがきっかけになったのでしょうか、
先日、同省の日本発トレンド研究会に参加させていただきました。



この会の主旨は....依頼状によれば...

────────────────────────────────
 現在、経済産業省では、グローバル化、人口減少社会の
到来の下での我が国経済社会のあり方について、産業構造
の変化の方向と必要な取組という観点から検討を行ってお
ります。既に本件については一度御意見を拝聴しており、
誠にありがとうございました。

 特に、日本の独自の強みである「文化」を軸に産業構造
の変化を議論することが重要と考えており、重点的に検討
していくべきではないかという問題意識を持っています。
そのため(中略)「新たな産業構造のあり方に関する研究会」
にて「文化の発信構造」を議論するセッションを設けて検
討したいと考えております。 (後略)
────────────────────────────────

その第一回会合では、まさに日本発の文化発信をされている
素晴らしいクリエイターやプロデューサーの方々の発表に
感銘を受けたのですが...



とりわけ印象に残って痛快だったのは...

桑沢デザイン研究所 特別任用教授 森川嘉一郎さんの
アニメ、マンガ、秋葉原、コミケットを枕にした文化論政策論です。

宮崎アニメがアカデミー賞を受賞した新聞記事を冒頭に紹介しながら

「こういうのが困る」

と切り出した後で...

「(オカミは)じゃまをしないで欲しい」

と直言されたので度肝を抜かれました。


そのココロは、

こうしてアニメなどが権威づけされると
良いアニメ悪いアニメの峻別や、政治の介入が進んで、

たとえば、日本が誇るマンガ、アニメ、ゲームの基盤となっている
あやしくも豊潤な土壌がこわされてしまう

それを恐れての至言だと参加者が気づいたのは、
お話の後半になってのことでした。

 
森川先生webより

秋葉原の町並みの写真を写して、真ん中から線を引き、

いわゆる再開発された高層ビルは「世界中どこにでもある町」
中央通り沿いの怪しい町並みを 「世界でここにしかない町」

として、アニメイトや、とらのあなといった同人誌ショップが
いかに、秋葉原の電気街を変えていったかを解説。

オカミ主導の大規模再開発よりも、
大通り沿いながらペンシルビルゆえの敷居の低さを利用して
新興勢力が集結したことを教えてくれました。


 

さらに、一見、いかがわしい同人誌でデビューを飾った
岡崎京子さん吾妻ひでおさん

後々、漫画界に大きな影響を与え、手塚治虫文化賞や
文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞したことを指摘。

美しく形の整った権力者あるいはPTA好みのものからは、
文化も生まれないことを、暗に示したのです。

そして、歴史観も交えながら、

日本では、権力者の文化と大衆文化が交互に波形で交差しながら栄え、
海外で評価されているのは、たとえば浮世絵のような
大衆文化であると力説しました。

(そう言えば、わが墨田区が誇る葛飾北斎も、
 娘と風俗画どころか春画まで描いていたわけです。)




さらに、まさに日本のオタク文化を支えるコミケットでは、

1) 誰もが机半分という同じスペース
2) 売れる店ほど中心から外に出される
3) テーマ別出店数が決められている


ために、独占寡占が起こりづらく、文化の多様性が確保され、
新しい作家もデビューしやすいそうです。

アナログながら、未来を先取りした驚くべきシステムで
コミケットが運営されていることも披露されました。

また、何より、その会場にいらっしゃる人にショックだったのは
オタクの7割以上が、女性であるという事実でしょう。

こうした裾野が広く層の厚い支持者層と未来の作家層に支えられて、
日本のアニメ、漫画、ゲーム文化は栄えているのです。

いわば「オタクは日本の宝」です。

ですから、森川先生は、中国や韓国が国策で
トップダウンでアニメを栄えさせようとしても、
なかなか追いつかないだろうとお話されました。


そこで、森川先生の政策面のリクエストを
私なりにまとめてみますと....


1.例えば「児童ポルノ反対」の外圧や世論から
  オタクを守って好きにさせておいて欲しい

2.良いアニメ、悪いアニメなど国が決めずに
  好きにさせて多様性と新規性を受け入れて欲しい

3.コミケの遺産として死蔵されている
  同人誌を、保管公開する施設を作って欲しい



ということになりますでしょう。


ここ数年、日本が誇る古今のアニメを

銀魂、ポケモン、十二国記、ガラクタ通りのステインから、
ブラックジャック、ドカベン、ペリーヌものがたりまで、

かたっぱしから見狂って、喜怒哀楽モード全開の私には
まさに「わが意を得たり」の素晴らしいお話なのでした。

それ以後、東京商工会議所や墨田区役所のキーマンとの会議や
仲良し縁者とのプライベートの会話の中でも
ことあるごとに森川先生のお話を引用している私です。

森川先生、貴重なメッセージをありがとうございました。


 ▼森川 嘉一郎先生のホームページ
  http://homepage1.nifty.com/straylight/main/


久米 信行
国産オーガニックコットンTシャツ@久米繊維
エコロジー&アートTシャツ@T-galaxy.com
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