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2007年06月11日(月)更新

絵師冬奇展「手描きの精妙。提灯に龍が舞いTシャツに命宿る」

絵師冬奇展

6月11日(月)から7月14日(土)まで、
京都在住の若き絵師 冬奇(えし・ふゆき)さんが手描きした新作
「10枚のTシャツによる展示会、10 pieces exhibition」を
久米繊維本社プレスルームで開催いたします。

土曜日に作品に触れて、圧倒されました。

提灯とTシャツまずは、大きな提灯に描かれた、
今にも飛翔せんとする龍のうねりに。

そして、物語の挿絵からまさに抜け出して
新たにTシャツの上で命を得た、
壮大で心揺さぶる叙事詩に。

息を止め 息を吐く。

冬奇さんが持つ筆先からは、
大胆さと繊細さが、陰陽のようにめくるめく
ほとばしっているのです。


筆を持つ絵師冬奇さん絵師 冬奇さんは、
京都芸術短期大学で日本画を学んだ後、、
1996年に手描き友禅染の工房に入って、
和装文化や伝統技術の道を歩み始めます。

やがて、手描きのTシャツを製作、展示するなど、
伝統技術と日本画を融合させた新しいスタイルに挑戦。
2005年には、(株)ワコ-ル主催のイベント
「ワコルネアワード」で「津村賞」を受賞されます。

そして、最近では、独ゲシュタルテン社の書籍挿絵、
伊フィスコロ城で開催の展覧会への作品招待
独フォルクスワーゲン社のテーマパークAutostadtのレストラン内装など
活躍の場を世界に広げていらっしゃいます。


ポーのドイツ語本と挿絵原画今回の「絵師 冬奇展」は、
冬奇さんが挿絵を描いたドイツ語の物語本
メールストロムの旋渦
が主題になっています。

原作者は、かのエドガー・アラン・ポー。
北欧を舞台にした物語に、あえて冬奇さんは、
日本画の表現手法で挑みました。


手描きTシャツと挿絵原画物語の挿絵原画が、10枚並べられています。

そして、それぞれの挿絵の中から
最も印象的な意匠が切り出されて
Tシャツに一枚一枚手描きされ
新たな命が吹き込まれていきました。

挿絵という具象から派生した抽象。

もはや洋の東西を超え、時間軸も揺らいで、
いつかどこかで見た「色とかたち」を投げかけ
生まれて初めて見た「色とかたち」を問いかけるのです。


10枚目のTシャツしかし.....

10枚目の最後のTシャツ絵が....
かくもおどろおどろしき具象画でした。

ところが、この絵からは
冬奇さんの言葉にできない想いが
ひしひしと伝わってくるのです。

それは、決して禍々しき負の情念ではなく
もっと力に満ちた心の奥底から湧いてくる力です。

それは何なのか?

冬奇さんから、
この物語のあらすじと結末をお聞きして、
わかったような気がいたしました。

それは、荒れ狂う波の中でも
唯一正気を失わず、人の道を貫いた
主人公の「生きる力」「生かされる力」
だったのです。


絵師冬奇展

「絵師 冬奇展」は
7月14日まで開催されています。

最終日には、もう一度、
冬奇さんもいらっしゃいます。

ぜひ、ポーの物語を読んでから、
この驚くべき挿絵とTシャツに
触れてみてください。


 ▼絵師 冬奇さんのホームページ
  http://www.eonet.ne.jp/~fuyuki/

 ▼「絵師 冬奇展」10 pieces exhibition
  http://kume.t-galaxy.com/e401.html


久米 信行
久米繊維/Art T-galaxy.com
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