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2014年02月26日(水)更新

​【カンボジア視察6】アナコット カンボジア 田中千草さんの笑顔と教育改革



この細腕のどこにパワーが。絶望的な状況にあって、どこから笑顔が....。

カンボジアでお会いした尊敬すべき日本人のおひとり、田中千草さん。2007年に青年海外協力隊でカンボジアに赴任して以来、現在は単身、公立学校のアドバイザーとして、またNPOアナコットカンボジアのリーダーとして、草の根から同国の教育復興に奮闘努力されています。

とっかかりとして音楽教育で楽隊を指導されていますが、本当に目指されているのは、教師の意識改革と教育なのです。なぜ?それは同国の教育の現状を知ればわかります。


▼カンボジアにおける教育の現状

カンボジアでは1970年代からおよそ20年にわたって、内戦が続いた。
その内戦の中、1975年、ポルポト政権が成立。

共産主義を掲げたポル・ポトは、教育は資本主義を教え込む元凶と捉え、それまであった学校を次々に破壊し、教材や本を焼却していった。
それだけではなく、知識のある者は資本主義を生み出す敵として捕らえ、虐殺していった。その数は200~300万人と言われている。

この時、教育を行う教師は徹底的に捉えられ、虐殺されてしまった。

学校、教材だけでなく、教師も失ったことにより、カンボジアの教育基盤は完全に崩壊した。

ポル・ポト政権が失脚した後、生き残った人たちにより教育の立て直しが行われたが、ほとんどの教師を失った事実は、容易に乗り越えられるものではなかった。
教えられる教師がいないから、字が読めるだけの人が教師になった。
算数も国語も社会も理科も知らず、教育のことを何も知らない教師たちが教育を行うしかなかった。

そして、その時の教育を受けた子供たちが、今大人となり、教育を行っている。


▼田中千草さんのプロフィール

1978年北海道根室市生まれ、芦別育ち。学校卒業後、芦別小学校、茂尻中学校で勤務。 2007年1月より2年間、青年海外協力隊小学校教諭としてカンボジアの小学校に勤務。音楽教育を中心とした支援活動を行う。 2009年4月より、JICAという組織を離れ、個人としてワット・ボー小学校へ再赴任。 同年に非営利団体アナコット カンボジアを設立。 校長補佐として学校運営の助言、教員の指導と子どもたちへの音楽指導を行い、また就学が困難な児童への就学支援も行っている。 現在、家庭の事情により学校に通うことのできない子どもたちとともに暮らしている。


▼アナコットカンボジア
http://anacott.web.fc2.com/

2014年02月26日(水)更新

【カンボジア視察5】クメール伝統織物研究所 森本 喜久男さんが織りなす美しい服と人、そして村



ああ、なんと美しい出で立ちでしょう。身にまとう優しい色合い、輝き...そして笑顔。クメール伝統織物研究所の森本 喜久男さんとお会いできて、お話ができて、心から感動いたしました。身も心も暮らしも、何もかも美しい。ライフスタイルというより生き様、ファッションというより活きた服...全てに憧れてしまいます。

ご当地で活躍する日本人社会起業家のみなさんとの楽しい雑談ランチの後、森本さんにお願いして、ファッションを撮影させていただきました。特にお気に入りは、むかし木こりの人が履いていた作業着をもとにデザインされた袴。タイの生地を染めて作り、30年以上愛用しているそうです。

「作務衣はちょっと違うと思う」

森本さんの言葉に、我が意を得たり。日本人が着るべき、理想の服というのを、私は探し求めてきたのですが....この森本さんの服がまるごと欲しい。販売していないそうなのですが、ぜひ作ってもらいたいとリクエストいたしました。

「久米さん、ありがとうございます。うれしいです、この素敵な江戸時代からの木こり作業袴「たつけ」と岐阜の白山の裾野の石徹白村で呼ばれています。普段着やよそ行きで着れるパンツです。ジャージやジーンズがいらなくなりました。そんな、とてもスゴレもの、スムースで履いている違和感がない、すごい伝統の知恵の結晶だと思います。ぜひ、皆さんに履いていただき、広めたいですね。わたしの夢は、もういちど普段着の世界でのキモノが蘇ること。この江戸時代からのキコリパンツもそれに通じるものだと思います。釜石の方で地元の女性たちの仕事を作る事業を立ち上げておられる、元青年協力隊の女性がおられます、そんな方達に、仕事を作ることと、つながれば、なおいいですね。よろしくお願いいたします。(森本さんからのご返信)」



クメール伝統織物研究所のホームページで森本 喜久男さんのプロフィールを見れば、誰もが驚くことでしょう。美しいものと出会うことで、思いもしない方向に人生が展開することもあるのです。

京都生まれの手描き友禅の職人だった森本さんは、バンコクの博物館で目にしたカンボジアの絣布に魅せられます。そして、アンコールワットにほど近い地で「伝統の森・再生計画」に着手して、今では、自然と人間が共生する22ヘクタールものコミュニティを築き上げたのです。カンボジアの人たちの伝統的な美しい暮らしを取り戻す村を、日本の職人が作ったのです。

▼社会貢献支援財団 表彰者紹介ページより
 http://www.fesco.or.jp/winner/h22/241.php

カンボジアの伝統絹織物である絹絣に魅せられ、 1996年にクメール伝統織物研究所を設立し、内戦により失われつつあったクメール織の技法復活と貧困層の支援のため活動を始めた。2003年にアンコールワットがあるシェムリアップの広大な敷地で「伝統の森プロジェクト」を開始し、養蚕、餌となる桑の植樹、染料になる虫の育成から糸を紡ぎ、染色、機織りと製品化までの全てがこの森で完結する伝統織物の継承とさらに食糧の自給生産から教育の全てをまかなうための施設を運営されている。

▼森本 喜久男さんのプロフィール
 http://iktt.esprit-libre.org/2005/06/post-141.html




ぜひ、このYoutubeを見てください。パリコレよりも森コレに行きたい!と思うはず。

森本 喜久男さんが築き上げた「iKTT伝統の森」で、牛の神様の儀の後、「伝統の森」で、伝統の手仕事を学んだ女性たちが織りあげ身にまとった「IKTTの布ファッションショー」が開催された時の動画です。森も、人も、布も、何もかもが美しく見えます。デジタルやネットではなく、森の中で、輝く陽光の下で見たいのです。

▼カンボジア☆ユーチューブ情報局ブログ記事
 http://www.cambodialife.mobi/cambodia/businessjapanese/1582

次回、アンコールワットを訪ねる時には、森本さんの「伝統の森」を必ず訪ねます。そして、おそろいの服を着ても似合う人になりたいのです。


▼IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
 http://iktt.esprit-libre.org/
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