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2006年10月28日(土)更新

空外記念館で今岡昭雄さんに山本空外上人の素顔を教わる縁起(3)

夢空外上人のために建てられた集会所の床の間で、
私は「夢」という書に出会いました。

これこそ、空外上人をご紹介くださった縁者が
一番好きな書で、ぜひ見たかったのです。

 「宇宙から彗星が降りてくるように
  空間に浮かんでいるように見える」

と聞いていました。

本当にこれまで見たことのない
「夢」の一字でした。


空外上人の絵に見とれ、今岡さんのお話に聞き惚れ
気がつけばあっという間に時は過ぎていきました。

最後に、私はお寺にお参りをさせていただきました。

今岡さんにご案内いただくと、
親切なおばあさんが出てきて
「どうぞ」と言ってくださいました。

しかし、木魚を前にして、
念仏を唱えたことの無い私は戸惑ってしまいました。

しかし格好をつけても仕方がありません。

意を決して、正直に、念仏の経験がないこと
飛行機の時間が迫っていて5分ほどしかお参りできないことを
打ち明けました。

たいそうばつの悪い思いをしたのですが
そのおばあさんは嫌な顔ひとつせずに、
一緒に念仏をあげてくださいました。

ナンマイダ ナンマイダ

しばらくして木魚と呼吸の
心臓と念仏のリズムが整ったころ、

おばあさんは立ち上がって
空外上人のお位牌を出してくださいました。

ありがたいことです。

そして、また一緒に念仏をご一緒に
唱えてくださいました。

この長くて短い5分ほどの念仏が終わったあと、
ふと見ると、おばあさんは涙ぐんでいました。

そして、ていねいにお辞儀をしてくださった上
思いもかけないお言葉をいただきました。

「今日はようこそお参りいただきました。
 きっと空外上人も喜んでくださったでしょう。」

私も驚き、思わず泣きそうになりました。

「なぜ、初めての私に
 不信心な私に...」

しかし、ぐっとこらえて
お別れのご挨拶をいたしますと、

「お見送りいたします。」

と、おばあさんは坂の下の駐車場まで、
ついてきてくださったのです。

申し訳ないようなありがたいような
不思議な心地に包まれました。

そして、車からごあいさつしながら、
感激で胸がつまりました。




ああ、なぜ、空外上人が この地をかくも愛したのか、
少しだけわかったような気がいたしました。

空外上人が、心の底から、この地の人たちを愛したからこそ、
上人亡き後も、ここまで愛され続けてているのです。

空外上人が、昼夜を問わず念仏を上げていたからこそ
心から祈りを捧げ涙を流す人たちがいるのです。


縁者のさりげない一言から始まって
不思議な出会いに導かれてこの地で過ごした一時は、
まさに、私にとって「夢」のようでありました。

そして、今も、あの場所に、あの人たちがいて
あの書画が抱かれ守られていることを思い出すだけで
あたたかい幸せな気持ちになるのです。


 ▼空外記念館


久米 信行縁尋奇妙
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